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ニジマスの知られざる2つの真実

ニジマスは釣りの対象魚、あるいは「マスの塩焼き」「マスのつかみ取り」に利用されて広く知れ渡っている魚。日本の魚と思われている方が多いですが、原産地は北アメリカの太平洋側とカムチャッカ半島で外国からやってきた魚です。日本には1877年にアメリカから持ち込まれて、養殖技術も、在来魚であるヤマメやイワナよりも早い段階から確立されたことにより、近年まで全国各地の河川に放流が行われてきました。

約140年の間、特に遊漁の対象として河川には繰り返し放流されてきましたが、日本の河川ではほとんど定着(親から子へ世代交代を繰り返す)していません。古くから北海道の河川ではやや定着ができるのに、本州以南ではどんなにニジマスを放流しても定着できないことが知られていました。すぐに釣り切られてしまう、あるいは何世代も池で養殖を続けてきたことにより、河川の生活に適さないようになったと、色々なことが推察されてきましたが、近年の研究の結果から定着を阻害する要因がいくつか明らかになっています。

その要因の一つは季節的な増水(融雪や梅雨、台風による増水)。同じような水域に生息している在来魚であるヤマメやイワナは秋に産卵を行い、季節的な増水が起こる時期にはある程度の大きさに成長しているので遊泳力があり増水に対する耐性があります。一方、ニジマスは春に産卵を行い、増水期にはまだ体が小さく、遊泳力が弱いことから生き残ることができないと示唆されています。

ニジマスは遊魚の対象(特にルアーやフライ釣りのスポーツフィッシングでは)として人気があり、かつ養鱒業界では重要な水産有用種ですが、日本の水域では人の手を借りない限り生息することが困難な魚です。

また国際自然保護連合(IUCN)では侵略的外来種ワースト100に選定され、北海道のいくつかの河川では在来魚であるオショロコマやアメマスとの置き換わりが生じていることから、ニジマスあるいは日本の在来魚から人間に対して「色々なつぶやき」が聞こえてくる気がします。

コラム執筆者

宮田 浩

エコツーリズム・グリーンツーリズムなどに携わり現在は年間を通じ、御岳や奥多摩などを中心としたツアーガイドなど数多く行う、川と森を案内するスペシャリスト。

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