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〝断らない救急〟の現場

『徳洲会 コロナと闘った800日』

 〈コロナが発生する前から23区在住の救急患者の搬送は多かったですが、コロナでもぐっと増えました。〝断らない救急〞を目指し笹井恵里子著『徳洲会 コロナと闘った800日』(飛鳥新社)ていますが、東京では実践が難しい〉

昭島市にある東京西徳洲会病院を率いる渡部和巨院長の話だ。2020年からつづく感染症に立ち向かった医師たちの闘いを描いた『徳洲会 コロナと闘った800日』に紹介されている。 著者の笹井恵里子さんはサンデー毎日編集部記者を経て、18年に独立。主に医療や健康をテーマに執筆してきた。この本も急患対応に定評のある徳洲会病院の取材からスタートしたという。

 

 

コロナ禍の記録として貴重な一冊

徳洲会といえば、やはり 徳田虎雄氏。幼い日に弟が医者に診てもらえず亡くなった無念さを糧に医師の道に進み、弱冠35歳で大阪に徳田病院をオープン。掲げた理念が「命だけは平等だ」。その実践が患者に対する献身的な医療だ。

笹井さんは〈そしてコロナが発生してからの2年間、徳田虎雄から直接指令を受けて院長に就任した医師たちの活躍が華々しい〉と指摘。渡部院長も〈いつでもすべての治療ができる病院にしたい〉と奮闘していた。

現場指揮官は感染対策室長で外科部長の飯島広和医師。20年9月にプレハブの発熱外来棟を院外に設け、手指消毒の徹底とマスクやフェイスシールドの着用で感染リスクと対峙していく。

それでも院内クラスターが発生、多くのスタッフが出勤停止になり、飯島医師自身も感染してしまう。渡部院長の指示で即入院、加療となったのだが、彼は〈ベッド脇にパソコンを持ち込んで、受け持ち患者のカルテ整理などの仕事をしていた〉らしい。

東京西徳洲会病院の取り組みは、全国に71ある徳洲会グループの医療機関における一例にすぎない。全編には、それぞれの局面で悪戦苦闘する医療従事者たちの活動がレポートされている。第6波まで取り上げられており、コロナ禍の記録としても貴重な一冊だ。

出直しは中嶋丸で

あきる野市長選 村木氏破る

あきる野市長選が9月4日投開票され、前市会議長で無所属新人の中嶋博幸氏(55)=自民、公明推薦= が1 8 6 0 0 票を得て、無職前の村木英幸氏(65)、共産党地区委員長で同党公認の数野一氏(74)、会社社長で無所属新人の木下優氏(73)を破り初当選した。投票率は41・69%で前回を0・09%下回ったが、40%台には到達した。村木氏は4677票だった。当日有権者数は6万6642人。

特別養護老人ホーム整備を巡る対応に問題があったとして、議会から2度の不信任決議を受けた村木市政の継続か刷新かが争点とされたが、事実上は厚い組織力に支えられた中嶋氏の信任投票だった。18600票は十分な信認を得たと評価でき、市政の安定を掲げる中嶋丸は順風満帆の船出になった。

■市長選を振り返る検証記事を9月17日配信のニュースサイト東京25ジャーナルで掲載。

 

父の背中 先代の仕事と教え

民話と炉ばたの二人三脚

 民話の宿として知られる荒澤屋。囲炉裏を前に、ひろじいこと荒澤弘氏が語る奥多摩の昔ばなしは、コロナ下でも依然として健在。一人息子で4代目を継ぎ、旅館と併設された炉ばた・あかべこを切り盛りする貴氏との二人三脚は、はた目にも頼もしい。

「物心のついたころ、親父はもう語り部をしていた。でも息子にしてみれば、男親の話を面と向かって聴くのも気恥ずかしい。それでも、たまに階段で耳にすると『親父はすごい。とてもまねはできない』と思った」

貴氏からこう評価されるひろじいは1943年の生まれ。学習院大学を卒業後、昭島市にある自動車部品メーカーに勤務していたとき、2代目に請われて旅館を継ぐ。奥多摩の昔ばなしは家業にロマンという要素を加える。

「私は旅館を継ぐという前提ではなく、高校を出ると1年間、調理の専門学校で学んだ。とりあえず調理師免許を取得し、修了後は吉祥寺で数店舗を展開する有名料亭で修業した。そこで食を提供する醍醐味を知り『40歳までに店を持ちたい』と考えていた」

この言葉こそ貴氏が30代半ばで実家に戻る伏線だったといっていい。日本酒と食事を楽しめる店の出店候補地はいくつかあったものの、やはり奥多摩に落ち着いた。旅館の厨房を改修して、2013年3月に炉ばたのある居食屋が開店。

「その際に、親父から私に代替わりもしている。ありがたいことに私の思うようにさせてくれた。親父の舞台は昔ばなし、私の舞台はあかべこということで、高級感のある奥多摩にないような店をめざして試行錯誤を繰り返している」

コロナ前は、ひろじいの民話のようにファンも増えたが、さすがにこの2年半ほどは苦戦している。旅館は通常営業したとはいえ宿泊客は減少。あかべこも一時休業を余儀なくされてしまう。それでも、貴氏はランチ営業とテイクアウトで対応、老舗の灯は絶対に消さない。     【岡村繁雄】

コラム執筆者

編集室システムU

西多摩地域を中心とした東京25区管内の政治、行政、経済社会、トピックスなどを配信する「東京25ジャーナル」の編集室。
“地域の今”を切り取ります。

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