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過疎・高齢化により収穫できない「放置ユズ」

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過疎・高齢化により収穫できない「放置ユズ」
古くから受け継がれてきたもので新たな価値創造へ

TOKYO OKUTAMA FACTORY/拠点:奥多摩町


奥多摩を拠点に活動する「TOKYO OKUTAMA FACTORY」は、収穫しきれず困っている奥多摩の民家の柚子収穫を手伝い、新しい加工品を開発し販売を行っている。

主宰するのは奥多摩在住、元地域おこし協力隊の小菅直生さんと、氷川キャンプ場にある「カフェクアラ」の店長、大塚めぐみさんを中心とする約10人の有志。2018年に地域おこし協力隊として移住をした小菅さんと、元食品会社で商品開発に携わってきた大塚さんが、町内で行われたユズの収穫と剪定に参加した際、「放置ユズ」の地域課題を知り、これを奥多摩の特産品にできないかと考え2020年から、「TOKYO OKUTAMA FACTORY」を設立。商品開発に着手した。

閑散期に手作業で丁寧に果汁を絞る

全国の山間地域では、高齢化や過疎化により育ったユズが収穫できないままになっている「放置ユズ」が地域課題となっている。放っておけばサルなどの野生動物の食料に。無意識で餌付けすることにつながり、人里が「いつも食べ物がある場所」となれば、さらに近くの別の畑を荒らす原因にもなる。

奥多摩でも同様のユズが多くあり、小菅さんが家主や地主の代わりに、ボランティアで収穫を手伝い、閑散期となり店を閉めるシーズンに大塚さんが皮をむき、果汁を絞る作業を行う。現在、25世帯のユズ約250㌔を冬場に仕込み、1つ1つ手作業による商品化を行っている。

種が多く、一個から採れる果汁の量はごくわずかなユズの果汁を贅沢に配合し、バター、卵、砂糖と一緒に鍋でグツグツと煮た「柚子バター」(50㌘:800円、100㌘:1500円)や、完熟柚子ならではのふんわり優しい香りと粗めに刻んだ唐辛子の食感が癖になる「完熟生柚子こしょう」(中辛・大辛共に900円)、果汁と果皮を使ったバームクーヘン「ツキノワバウム」(1 5 0 0 円)などを販売、同店やネット、町内の観光施設などで取り扱う。大塚さんは「1人の観光客として奥多摩に訪れた際に、もっとお土産品がほしかった。

閑散期の新しい収益事業にもつながれば」と期待する。小菅さんは「奥多摩で古くから大切に受け継がれてきたもの。このユズを使ってこれからも新たな価値の創出を目指していきたい」と話していた。

 

伸びたユズの木は高所に実る

足場の悪い急峻なユズの実も収穫する

開発した完熟柚子こしょう(写真左2つ)と柚子バター

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