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市長と都議、ベリー農家の関塚さんと懇談
農業振興の難しさ認識、課題解決の展望も
青梅市新町のベリーコテージで6月10日、市長と都議、農業者による懇談会が持たれた。農業振興の難しさを改めて認識する一方、展望も開けた。
昨年の青梅市議会の12月定例会一般質問で農産物のブランド化など農業振興が取り上げられた。この質問と答弁に対し、ある農業者が「市長に伝えたいことがある」と思った。市長と質問した市議も議会後、聞きたいことが出た。両者の思いが一致した。
話し合ったのは、ベリーコテージを営む関塚直子さん、夫の聰明さん、長男の剛史さんと大勢待利明市長、質問者の山﨑善信市議。オブザーバーで森村隆行都議、目黒えり市議が加わった。
一般質問では、青梅市のブルーベリー生産量が都内一であり、ウメ、ユズ、狭山茶、キノコ、カキ、鶏卵、トマトなど魅力ある農産物が多いとし、ブランド化で活性化を図るべきとの質問に、市は青梅生まれの豚肉「TOKYO‐X」が知られ、ウメとスモモを掛け合わせた「露茜」の導入が進んでいるなどとし、ブルーベリーを含め市内の魅力ある農産物の高付加価値化に前向きな姿勢を示した。
直子さんは、44年前にベリー栽培を始め、ベリーコテージを建て、果実販売、摘み取り、創作スイーツのカフェ営業の三本柱で観光農園を営んできたことや、都内はもちろん地方、海外からの視察を受け入れ、ベリーの普及に尽力してきた歴史を振り返り、「より良い品種と栽培法にこだわり、安心でおいしいベリーを提供することが顧客の定着、拡大につながるとし、農業者にはそのための努力が求められる」と話した。
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生産量が都内一と言っても、ブルーベリー栽培が盛んな練馬区や小平市には遅れをとっている。直子さんは「『ベリーのまちにしたい』という提案は良いことだが、ベリーは年々品種改良されている。ベリーのまちの看板を掲げるなら、高品質のベリーを地域の農家が一体となって生産するなどの努力がいる。観光農園的には園ごとに違う品種や異なる種類の果実を栽培して、農園めぐりをしてもらうなどの工夫が必要」と話した。
聰明さんは「ブルーベリーは小粒だが、捨てる所がない。健康志向の追い風もある。値段が高くなっても高品質のものを生産していくことが大切。『食卓にベリーを、窓辺にベリーを』と唱え頑張ってきた妻を見てきたが、ベリーが好きじゃないとできない。生産者の情熱が大事だ」と話した。
元厚生労働技官で研究職に就いていた剛史さんは就農して1年になる。農業に研究で培った技術・知識を活かしたいと思っている。「ブランドとなるブルーベリーを生産するには良い品種、良い土壌、高い剪定技術などが求められ、人材が必要だ。農業はきつい肉体労働。負担を軽減するためにパワースーツ着用やロボットの使用など科学技術を駆使し、楽な農業を実現できればいい。青梅市はスマート農業の先進地を目指してほしい」などとした。
大勢待市長 意見を庁内議論に生かしたい
森村都議 課題整理し、農業振興を後押し
大勢待市長は「青梅市の農業を盛り上げていく知恵を聞かせてもらった。庁内議論に生かしたい。農産物加工品なども市のふるさと納税返礼品に加えるなどできることは速やかに行いたい」とした。
森村都議は「川上村のレタスや小豆島のオリーブ栽培などが成功例として思い浮かぶが、皆さんの声を聞き、様々な課題の一端が理解できた。青梅市農業の課題を整理し、農業振興の後押しをしていきたい」とした。