自動車保険のあれこれ

第10回　対人賠償とは？

自動車保険（任意保険）の対人賠償責任保険は、契約自動車を運転中の事故などで、他人を死傷させたことによる、法律上の損害賠償責任額について保険金が支払われます。加入が義務付けられている自賠責保険には、ケガは１２０万円、死亡は３０００万、後遺障害は４０００万という上限額がありますので、自賠責保険などから支払われるべき金額を超過した額が、一回の事故につき被害者一名ごとに、保険金額を限度に支払われ、示談・訴訟・和解・調停等に要した費用なども対象です。自賠責保険にはない、示談交渉サービスがありますので、事故に関する煩雑な手続きや難しい交渉を保険会社にお任せすることできます。

賠償範囲は治療関連費用・介護費用・慰謝料・休業損害・逸失利益・葬儀費用などです。相手の過失分や臨時費用を補償する特約がある保険会社もあります。なかでも逸失利益については、死傷された方の年齢・年収・家族構成等により賠償額が億を超えるケースもありますので、保険金額は必ず「無制限」を選択しましょう。

対人賠償の対象は「他人」です。記名被保険者（①）や契約自動車を運転中の方（②）と、①②の父母・配偶者・子および①の業務に従事中の使用人は対象外ですので、自宅駐車場で家族に気づかずバックしている際にケガをさせた場合などは、その家族のケガは補償されません。また原因が地震・噴火・津波・台風・洪水・高潮の場合や、運転者の故意による事故および競技・曲芸中の事故なども対象外となります。

対人事故で保険を使用した場合、３等級ダウン事故となります。等級が下がり、事故有係数という割増料率が適用されるため、次の契約の保険料が上がります。ただし、自賠責保険の補償範囲内で支払いが完了し、対物保険や車両保険など他の保険を使用されない場合は、ノーカウント事故となり、等級が下がらないケースもあります。