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五日市をこよなく愛し、その魅力を発信

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秋川渓谷の自然、五日市に伝わる文化や歴史を紹介「五日市物語」製作委員長

視覚デザイナー 高橋敏彦さん(69)

 

秋川渓谷の自然、地域に伝わる文化や歴史など、五日市の魅力を1つのストーリーで紹介する映画「五日市物語」が完成した。30日に秋川キララホールで開幕する第27回あきる野映画祭で上映される。あきる野市乙津で視覚デザインの仕事に携わり、映画の製作委員長を務めた高橋敏彦さん(69)は五日市をこよなく愛し、その魅力を発信し続ける人だ。=関連記事2面

春、秋の季節を前に駅や街角に張り出されるあきる野市の観光ポスターは高橋さんの手による。独特の文字で墨と顔彩が力強く調和したポスターは、旧五日市町からあきる野市に継がれ27年目を迎えた。いつからかあきる野市の風景の一部ともなってきた。

1987(昭和62)年、旧五日市町の観光ポスター、4枚組みの「秋川渓谷」が日本観光ポスターコンクールで最高賞の金賞を射止めた。これをきっかけに高橋さんが描くポスターは、翌年から5年連続で財団法人日本観光協会のキャンペーン用ポスターに採用された。キャンペーンは「素晴らしい日本を見つめ直して欲しい」と国内旅行を推奨するもの。趣旨にぴったりの高橋さんの作品は日本の旅の魅力の再発見に一役買った。

42年、北海道札幌市に生まれた。市内の高校を卒業後上京。都内にある桑沢デザイン研究所でグラフィックデザインを学んだ。卒業後は同研究所の講師を務め、広告代理店に勤務した。仕事の撮影で五日市を訪れ、「自然の中で子どもを育てたい。豊かな自然を背景にデザインの仕事をしたい。デザイン講座もこうした環境の中で開ければ」と現住所に移り住んだ。

住んで本当によかったと思ったのは、自然以上に、郷土を見つめ、前向きに生きる多くの人たちと知り合えたことだった。その仲間たちと共に、未来につながる町づくりに取り組み始め、あきる野映画祭の前身の五日市映画祭や秋川渓谷自然レース、五日市ヨルイチ、ガレリアきらり市などのイベントにかかわってきた。

小学生のとき、札幌の大通り公園で大きな雪像を少年少女がつくり競い合った。翌年、商店主が加わった。やがて自衛隊も参加し、今の雪まつりに育った。何気ない小さな取り組みも大きな夢に育つこともある。

「五日市物語」の製作委員長もあきる野市の発展につながるのだからと引き受けた。「五日市のいいところを多くの人に知ってもらいたい。また、千葉卓三郎らが外から五日市に来て、地元の人と交流を持ちながら五日市憲法を生んだ。外の人を風とすれば、地元の人は土で、風と土が五日市で1つになって新しい文化を生んでいく。そのことを映画で伝えたかった」。高橋さんは「五日市物語」のテーマを力強く語った。

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