「なぜ白い花ばかり?」梅雨の季節の花の不思議
西多摩の森では梅雨も様々な植物が開花します。6月上旬は樹木に着生するランの仲間であるセッコクが開花し、マルバウツギやコゴメウツギがに続き、7月に入ると華やかなユリの女王ヤマユリ、足元ではツルアリドオシ、ギンバイソウと次々に花を咲かせます。
このように梅雨には多くの植物が開花しますが、ある不思議なことに気づきます。なぜか白い花ばかり。どうしてこの季節の花は白色に統一されるのでしょうか?
春から梅雨までの移り変わりをみると、まず4月上旬に樹木は若葉を芽吹きます。まだ葉は小さいので太陽光は林床に届き、森林内はとても明るいです。樹木の葉は日を追うごとに成長し、5月下旬には樹冠を葉が覆い尽くすため、太陽光は林床には届かず、森林内は薄暗くなります。
植物は受粉のために、花粉の運搬を担う昆虫たちを花の形や甘い香りと共に、色によっても誘発しています。薄暗い森林内で昆虫等にアピールできる色を考えたとき、白色が一番目立つため植物は白い花を咲かせます。
このように気づかないところで植物は環境に応じて子孫を残すための戦略を繰り広げています。そのことに気づくと梅雨の季節でも山歩きがとても楽しくなりますね。