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「ど根性スミレちゃん」どうしてそこで咲いているの?

 春の森を歩くと様々なスミレと出会います。多摩では3月中旬頃からタチツボスミレとアオイスミレがまず咲き始め、5月にはシコクスミレやコミヤマスミレと出会うことができます。

不思議なことに石垣や樹木の幹の隙間で花を咲かせているスミレを度々見かけます。その名は「ど根性スミレ」。なぜこのような場所で花を咲かせているのでしょうか?

スミレは受粉後、実が膨らみ、莢が割れて中に入っていた種子がはじけて飛び出します。種子には脂肪酸を多く含むエライオソームという小さな白い粒状の物質が付着しており、これがアリの大好物。種子を見つけるとせっせと巣の中に運び入れ、食べ終えて不要となった種子は巣から運び出されて捨てられます。このような行為により、石垣や樹木の幹の隙間でスミレは芽生えたと考えられます。

植物は親の近くで芽生えてしまうと、太陽光が遮られて成長することができず、また同じ場所に沢山の種子が蒔かれて芽生えると、兄弟同士で激しい競争が生じることから、競争を回避するために種子を分散させる必要があります。

 自ら種子をはじき飛ばしたり、あるいは動物による運搬、風や川の流れを利用したりと植物は様々な方法で種子を分散させています。中にはヤマネコノメソウのようにお椀型の莢に種子を作り、雨粒を利用して種子をはじき飛ばす植物もあります。

コラム執筆者

宮田 浩

エコツーリズム・グリーンツーリズムなどに携わり現在は年間を通じ、御岳や奥多摩などを中心としたツアーガイドなど数多く行う、川と森を案内するスペシャリスト。

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