感謝をお菓子に乗せて世界へ笑顔を。
立川市の住宅地にある「洋菓子のプルミエール」は30年余りの歴史をもつ。店舗のほか、ホテルや駅ビルにも出店、両親は休むことなくケーキ作りを続けてきた。「大学生の頃、親に言われたことはなかったが、後を継ぐことは決めていた」と話す長男の遠山さんだが、実は自らケーキは作らない。
最初に入社した会社は通販大手企業。「父が昔、通信販売で苦労をしていたことを見ていて、自分が継ぐときは、ノウハウをためて再チャレンジしたいとも思っていた」。ECでの販売業務を体験し、担当企業は2000社を超えた。その経験を生かし4年前、経営者として家業を継いだ。その直後のコロナ禍が、大きく発展する機会となっていく。
ぶれない想いと実践
遠山さんからは「カタチとストーリー」という言葉が何度も出てくる。「まずパッケージを決めて、お客様が商品を手にするストーリーを決める。そこから、それに合ったお菓子を父に製作してもらいました」。今までとは全く逆発想の考えは、職人である父と意見の違いも多くあったという。
それでも美味しいお菓子を多くの方に届けたい想いは同じ。ひとつずつ実績を積んでいった。店には母が育てた薔薇と家族でもある犬達がいた。それらはパッケージやロゴマーク、クッキーの缶などに、さりげなく生かされている。
「ありがとうを伝えるお菓子」として大切な方に配る場面を想定し、父が「余韻の残る味」を極めたクッキーを開発。ギフトに特化した商品は、ホワイトデーには七万缶を販売するまでになった。
立川から海外へ発展
新しいパティスリーの経営スタイルを作った遠山さん。今では20名程のスタッフが働いている。「まだまだ多くの可能性を感じている。台湾、シンガポールでも販売機会ができ、これからも両親や仲間と、もっと美味しい洋菓子を広めていきたい」と語る。「父が大好きなお菓子作りに没頭できる環境を作りたかった」という言葉が何よりも温かく響いた。
洋菓子のプルミエール
東京都立川市西砂町1-36-11
TEL:042-531-4835