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コラム

第一詩集「凍える言葉」を出版

思春期から青年期のカオスの体験を作品に

詩集を出版した井上井さん

フリーランスでクリエイティブの仕事に携わる青梅市千ヶ瀬町の井上正行さん(30)が、詩集「凍える言葉」を出版した。書名となった「凍える言葉」など20代半ばから書き溜めた42編を収録した。

思春期に芥川龍之介に憧れ、よく読んだ。同時に高校生の頃、2000字ほどの短編小説を20 ほど書いた。夏目漱石や森鴎外などの作品を含め、文学者を形づくる背景にはニーチェやショーペンハウアーなど哲学の要素が多分にあると感じた。作品を理解するには哲学を知る必要があると、学習院大文学部哲学科に進学した。

西洋美術史を専攻。悩んでいた時、目玉の夢を見た。その夢の内容をインターネットで調べていくと、象徴主義を代表するフランス人画家、オディロン・ルドン( 1 8 4 0 〜1916)の一つ目玉の作品につながった。ルドンは卒論のテーマにもなった。芥川がルドンについて語る文章も見つけ、不思議な縁を感じた。ユングなど深層心理の分野も学んだが、ユングもルドンの画集を手元に置いていたらしく、ここにも人知の及ばぬ見えない糸の存在を感じた。これらは井上さんの思想的背景の基盤になった。

26歳の頃、蓼科の旅館の露天風呂に入っていた時、急に浮かんだのが「凍える言葉」だった。題にして詩を創作した。その後は生活の中で思い浮かんだフレーズを記録し、詩作を進めた。詩人になりたいと思うようになった。

雪は煌めき、木々は広がり、呼吸は煙り、夜は眠る                                              燃える星と抱き合いながら美しい日々に終わりを告げて                                                   凍える言葉は                                                                       空の彼方へ散って                                                                                  ゆく                         「凍える言葉」

指はスラッシュ口に当てれば/沈黙何かを指せば/景色  略        「指」

「夢をモチーフに、思春期から青年期のカオスの時代の体験から生まれた作品。1つのフレーズでもいいから面白いと思ってもらえたらいいし、自分も本を作ってみようと思うきっかけになったらうれしい」という。

青梅生まれの著者、15編は青梅が舞台、本のデザインも青梅生まれの従兄が担当。文字は井上さんが6年間勤めた同市根ヶ布の精興社の美しい書体を使用した。「地元の人に読んでもらえたら」との思いが込められた第一詩集は、井上さん曰く「文化の地産地消」という。

四六判、103㌻。1500円。購入・問合せは

inoue books https://ieooninoue.base.shop/

email 2016artview@gmail.com

父の背中 先代の仕事と教え

地域ジャーナルの70星霜

西多摩新聞社 柴﨑斉氏

西多摩新聞の創刊は1950年。以来、70有余年の歴史を刻んだ。福生市に拠点を置き、当初は旬刊、現在は週刊で発行されているが、この実績は特筆されていい。その理由を同社の柴﨑斉ひとし社長は次のように話す。

「先人たちが築いてくれた基盤のおかげだと思っている。地域の日常生活に根ざした紙面構成で、身近なニュースを読む習慣を定着させた。このことが読者の支持につながり、ローカル紙として歩んでこられたと思う」

創刊当時、西多摩には7つの新聞社が存在したという。そんななか、シベリアの地で日本語新聞にたずさわっていた吉良金之助氏が主筆となって立ち上げている。異国における経験を生かしたひとりのジャーナリストの挑戦だったといっていい。

「最初は吉良さんの個人新聞だったかもしれない。それを会社組織にしたのが私の母方の祖父、田村利一。69〜81年まで都議会議員を3期連続で務め、83年に吉良さんから経営を引き継いで法人化した。やがて父の新しんが3代目の社長に就任している」

柴﨑新氏は、千葉大学工学部から一橋大学の商学部に学士入学したという俊傑。卒業後、石川島重工業(現IHI)に入社。祖父に乞われてパブリカ多摩(現トヨタS&D西東京)に転職、交運社を経て新聞事業にかかわる。

「私は明星大学・大学院を出て洋服のタカキューで修業、34歳で西多摩新聞社に入社。まず営業を担当し、広告や宅配を手がけた。父からは顧客の手元まで届け、購読料と広告料をきちっと回収するのが仕事と教えられた」

斉氏は2006年に社長に就任。紙面の充実や増ページを行い、購読者の拡大に努めた。とはいえ、メディアの多様化など新聞を取り巻く環境は激変。紙媒体だけでなくデジタル媒体への対応も必要。が、記事を書くのは地域の史実を残すこと。その使命感はいささかも揺るがない。   【岡村繁雄】

一棟貸し施設オープン 名栗温泉 大松閣

 飯能市下名栗の温泉旅館大松閣(柏木宏泰社長)に5月14日、一棟貸しの宿泊施設がオープンした。160平方㍍のラグジュアリーな室内と露天風呂やサウナを備えた大きなウッドデッキ、庭園を専有できる=写真。

施設は最大10名まで宿泊可能。料金は1泊2食付きで1人4万4000〜(サービス料込・消費税込・入湯税別)。オープン記念として7月15日まで大割引プランを用意した。問い合わせは042(979)0505まで。

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編集室システムU

西多摩地域を中心とした東京25区管内の政治、行政、経済社会、トピックスなどを配信する「東京25ジャーナル」の編集室。
“地域の今”を切り取ります。

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